2022.09.08
vision session-7「ものづくりとデジタルの化学反応」 「しあわせる。富山」ビジョンセッションを開催しました。
8月30日(火)、高岡市オフィスパークの能作カンファレンスルームでビジョンセッション「ものづくりとデジタルの化学反応」を開催しました。富山県のものづくり企業における現場の実情や、デジタルをどのように活用しているかをみんなで共有し、デジタル活用によるものづくりの変革と目指す未来について話し合いました。
はじめに、“デジタルによって失われたもの”が話題に上りました。登壇者からは、ものをつくるうえで大事な質感の共有をはじめ社内コミュニケーションが希薄になったこと、デジタルによって顧客の要望と作り手の実体験の間にギャップが生まれてしまったこと、対面だからこそ意義のある行事までオンラインに切り替えられたこと、スキマ時間にオンライン会議の予定をどんどん入れられて自分の時間がなくなっていくことなどが事例として出されました。
富山県における製造業の従業員数や付加価値額のボリュームは大きくても、従業員1人あたりの付加価値額を示す労働生産性を見ると全国・地方圏に比べて低い実態に話題が及ぶと、大手企業の影響や産業構造から業界を大きく変えていくことは難しいものの、デジタルを含めたさまざまな手段を通じて商品の付加価値を高める努力が必要であることを確認しました。
商品の高付加価値化には、「高品質である理由や企業ビジョンを伝え、付加価値を共有し理解してもらうことで支持を得られる」と、その価値を顧客と共有する手段としてSNSが有効であることが話されました。また、顧客は店舗に行くときはすでにSNSで商品を調べ、買うものを決めているケースが多いことからも、個人にアクセスするデジタル広報活動は有効との見方が示されました。自社サイトで商品の世界観を伝えることが高付加価値を生み出すことや、キャラクターや富山の素材を用いた商品づくりをすることでファンコミュニティへの訴求や話題喚起につなげること、SNSでリアルに顧客と結びつくことが従業員の意欲向上にもつながることも紹介されました。
「ものづくり」「情報発信」両方でブランド力を高めていくため、地元にプライドを持つ企業姿勢や熟練職人による製品づくりなど“誰にどのように見せるか”の情報発信が重要となる一方、情報発信を手助けする企業が富山に少なく、東京に集中している可能性が示されました。システム開発などにとどまらず、新たな発想でDXの取組みを進める富山の情報通信系企業との接点を増やすことができれば、富山のものづくり企業の付加価値を上げられるのではとしめくくりました。
各セッションの模様は、9月9日(金)以降に、「しあわせる。富山」特設サイトでアーカイブ動画により配信いたします。ぜひご覧ください。
また、10月28日~30日の3日間で開催する富山県成長戦略カンファレンス「しあわせる。富山」では、この議論を踏まえてテーマを設定し、県外の事業者や専門家等にも参画いただいて議論を深め、参加した企業等の皆様の連携により、新たな取組みやプロジェクト組成につなげることとしています。
川合 洋平 氏
能作 千春 氏
宮森 穂 氏
前田 大介 氏 【モデレーター】