2022.09.08
vision session-8「富山の食とデジタルのおいしい関係」 「しあわせる。富山」ビジョンセッションを開催しました。
8月31日(水)、富山が誇る食材や酒づくりの課題、デジタル活用方法などを話し合うビジョンセッション「富山の食とデジタルのおいしい関係」を開催しました。会場は富山駅前の商業施設・マルート1Fの日本酒バー「バール・デ・美富味」。富山の地酒に囲まれたカジュアルな雰囲気の中、トークセッションが行われました。
富山の食産業が抱える問題について、まずは「後継者問題」が挙げられました。無農薬農業を実践する農家でグループを作り、作物のブランド化と効率的な業務分担を進めて高品質な農産物づくりに取り組む登壇者からは、「富山の農業は利益が生み出しにくい構造になっているため、若い世代が取り組みにくい」「本当においしいものを届けないと、将来的に誰も買わなくなるのでは」との懸念が示されました。また、“その日の富山湾の縮図”のような売り場を目指し、漁港に揚がった朝獲れの魚を並べる店づくりを進める登壇者は、街の魚屋が減少している現状について「シンプルにお客さんのニーズに対応できなかった。大型スーパーのような売り方をしていたからでは」と指摘。一般客だけでなくプロの料理人も「田んぼの真ん中にある店にわざわざ訪ねて来てくれる」と自店の特長を話しました。県内でも有数の果樹園エリアでワイナリーを手掛ける登壇者は、「この自然でしか生み出せないものを作りたい。近隣スポットとの観光連携も進めて、地域をブランド化させたい」と目標を話し、ワイナリー単独で成り立たせることの難しさ、付加価値を作ることの必要性に言及しました。
課題解決に向けたデジタル活用のテーマでは、「売るため」の活用のほか、農家が料理や家庭菜園に役立つYouTube動画を発信している事例を取り上げ「お客さんの需要を知ること」にもつながると指摘。今日獲れた魚がひと目で分かるように売り場にカメラを設置し、どこにいてもデジタルで確認できる取り組みも紹介され、顧客とのコミュニケーションツールとしてのデジタル活用の重要性を共有しました。
参加者から寄せられた「富山県内の人が推す富山の食と、県外の人が望むものは違うのでは」との質問に対し、「富山の食の価値が伝わっていないのでは」とした上で、富山の食について望む声を集めて、どんな食材を届けるのが適切かを考えることが重要との認識も示されました。
各セッションの模様は、9月9日(金)以降に、「しあわせる。富山」特設サイトでアーカイブ動画により配信いたします。ぜひご覧ください。
また、10月28日~30日の3日間で開催する富山県成長戦略カンファレンス「しあわせる。富山」では、この議論を踏まえてテーマを設定し、県外の事業者や専門家等にも参画いただいて議論を深め、参加した企業等の皆様の連携により、新たな取組みやプロジェクト組成につなげることとしています。
黒崎 康滋 氏
中山 安治 氏
山崎 佑二郎 氏
蛯谷 耕太郎 氏 【モデレーター】