知事プレゼンテーション/基調セッション

知事プレゼンテーション

基調セッション
日本は地方こそ世界で輝ける!
〜世界のこんまり夫妻が語る日本の可能性〜

 10月14日(土)に知事プレゼンテーションおよび基調セッションをKOTELO(立山町芦峅寺)で開催しました。
 新田知事は、地方の新しいモデルとして、世界中が追い求めている「ウェルビーイング先進地域」を目指し、富山県が進めている取り組みを紹介しました。
 基調セッションでは、国内外で活躍する「こんまり」こと近藤麻理恵さんと海外展開を手がけて事業成長につなげたプロデューサーで夫の川原卓巳さんの2人が登壇。「日本は地方こそ世界で輝ける!〜世界のこんまり夫妻が語る日本の可能性〜」と題し、地方から世界を変える「新しいモデル」となるビジネスや施策を生み出すヒントについて話しました。

新田八朗

富山県知事

川原卓巳

Takumi Inc. Founder/プロデューサー

近藤麻理恵

片づけコンサルタント

高木新平

株式会社ニューピース 代表取締役CEO

新しいモデルの種を育て、実を結ぶために

 2日目の開会にあたり、新田知事がウェルビーイング先進地域を目指して富山県が進める取り組みについてプレゼンテーションを行いました。「ウェルビーイング指標を活用した政策立案」「富山のイメージを高める『一点突破』のブランディング戦略」「『出すぎた杭』を育て、スタートアップを創出するモデル」の3つを紹介。

 新田知事は「成長戦略における各分野の取り組みは、いずれも生まれたばかりの新しいモデルの種に過ぎない。これから大きく育ち実を結ぶには、多様な方々と連携を深め、新たな知見を得ながら取り組みをアップデートしていくことが重要」と、さまざまな施策やカンファレンスを通じた今後の発展への意気込みを語りました。

「こんまりメソッド」に世界が熱狂した理由とは

 続いてのセッションに登壇した片づけコンサルタントの近藤さん。5歳から片づけに興味を持ち、自身のみならず家族や友達の部屋まですすんで片づけていたといいます。大学時代から片づけコンサルタントとしての仕事をスタートし、就職後も副業として続けていたなど、ベストセラーとなった自著「人生がときめく片づけの魔法」の出版に至るまでの経緯を話しました。

 2014年に自著の翻訳版がアメリカで出版されると大きな反響を呼び、ニューヨークタイムズのベストセラーリストで70週連続で1位を獲得。その後40ヵ国以上で出版され、アメリカのタイム誌が選ぶ「世界で最も影響力のある100人」に選出されました。その後、海外から仕事の依頼も増え、2016年には夫婦でアメリカに移住。

 海外で片づけに関する本がヒットした理由について、近藤さんは「家の片づけが心の片づけにもつながるという精神性が新鮮に捉えられた。また、日本に比べて細かく収納を工夫するという意識は少なく、片づけのメソッドとしてもインパクトがあったようだ」と分析。さらに「アメリカは片づけに困ってないという印象があったが、実際に行ってみたら日本人と同じような悩みを持っていた。とにかくモノが多くて困っている。それをどう解決したらいいかわからない状態だった」と説明しました。

 近藤さんのプロデュースやサポートを担う夫の川原さんは、「彼女が片づけのメソッドをしっかりと言語化したことが重要。読むだけで『やってみよう』と心を動かす言葉を彼女が生み出してくれた」と、大きな反響を生んだポイントについて話しました。加えて近藤さんも「『こんまりメソッド』という言葉にしたことで、固有名詞として使われるようになった。また、私の場合は『ときめく』という普通の片づけとは違う表現を使っていた。自分のプロダクトはどういう言葉を使って表現すると一番的確で、際立つのかを考えるのはとても大切」と、商品やサービスを広めていく上で言語化することの重要性を語りました。

信頼できるパートナーこそがチームの始まり

 学生時代は友人関係だったという2人。川原さんがボランティアで近藤さんの仕事を手伝うようになり、その後自身も独立。本業として近藤さんと一緒に活動を始めたといいます。モデレーターの高木さんが「チームに何が必要か」と質問すると、川原さんは「人を巻き込み仕組み化していく間に、プロデューサー的な人がいるかどうかは大きな違い。その人がいると上手くいき、いないと上手くいかないケースが多い」と、自身の経験を踏まえて話しました。

 また「チームになる前に、良いところと弱いところ、苦手なところも含め、本当のことを話せる1人目のパートナーをまずつくることが重要」と川原さん。近藤さんも「本音で話せることはとても大切。自分と同じレベルで自分が良いと思っているものに共感してくれて、本当に広めたいと思ってくれる人がいるのは唯一の価値」、「スキルや能力で人を選ぶのではなく、信頼できる身近な人こそがパートナーとなり、それがチームの始まりになる」と、信頼できるパートナーを見つけることの重要性について強調しました。

地方には可能性とチャンスが広がっている

 海外で活躍する2人から見て、日本の可能性とは。川原さんは「日本にあるものは、世界にあるものより価値がある。水、食事、安心安全な環境。僕らは普通に享受しているが、地球単位で見たときにこんな場所はない」と主張。近藤さんは「いろんな場所で生活や仕事をしているが、欲しいもの、買いたくなるものは日本のものが多い」、「日本のものにはこだわりの深さがある。だから使いたくなり使い心地も良く長持ちする。しかし日本人はその事実に気づいていないかもしれない」と語りました。

 さらに川原さんは、「彼女が日本でやっていた『こんまりメソッド』と、世界一知られていると言われる『こんまりメソッド』は、クオリティとしてはおそらく変わっていない。日本一の後に世界一があったのではなく、日本一の基準ですでに世界一のレベルだった」、「日本一のレベルですでに世界一のものが、僕から見るとローカルにはゴロゴロ転がっている」と、地方の可能性についても言及しました。

 地方の可能性をどのように世界のニーズと繋げていくか。川原さんは「やはり魅力を伝える言葉をつくること。気づいたのは、日本語であっても言語化していれば翻訳は意外と簡単だが、『価値があると思う』『良いと思う』と思っているだけでは難しい。言語化までは自分たちが頑張る必要がある、それができていると(世界で)広がりやすく、見つけてもらいやすくなる」と、価値を正しく、そして人を引きつける形で言語化することの大切さについて繰り返し強調しました。

 最後に高木さんは「まずは言語化するということ。広めていくときに信頼できるパートナーを見つけること。これなら誰でもできそうな気がするのでは」と参加者に呼びかけました。加えて川原さんは「言語化することも、パートナーを見つけることもすごく当たり前のこと。でもやっている人が少ない。日本は良くも悪くも横に並ぶ。少し違いを生み出すことで世界が見つけやすい状態になる。日本、地方は成功しやすい土壌だということを知って欲しい」と、富山から世界に向けて大きな価値を生み出して欲しいと期待を込めて話しました。