協賛セッション

スケートボードでまちを変える presented by

スケートボードでまちを変える
presented by

 10月15日(日)、NiX JAPAN㈱さんによる協賛セッション「スケートボードでまちを変える」をKOTELO(立山町芦峅寺)で開催しました。2023年8月、富山市に「NiX Urban Skate Park(ニックスアーバンスケートパーク)」が誕生し、ますますスポーツとしてのスケートボードの人気が高まっています。また、スケートボードはまちの新しい楽しみ方や新しい価値をつくる若者のストリートカルチャーとなっていますが、時には「うるさい」「危険」「まちにダメージを与える」といったイメージを持たれることもあります。質の異なる二面性(スポーツ/カルチャー)を備えたアクティビティであるスケートボードが、人々の自由な活動の一つとしてまちと共生するあり方や、多世代の人を集め、まちの将来像を変えていく可能性など、これからのプレイスメイキングの姿を議論しました。

市森友明

NiXグループ代表/NiX JAPAN株式会社 代表取締役社長

藤奏一郎

株式会社日建設計 コモンズグループ パブリックアセットユニット プロジェクトアーキテクト

吉田良晴

吉田屋 クリエーター

多様なカルチャーや人を呼ぶスケートボード

 今回の登壇者は、各地域でスケートボード場の整備・運営を行っている3名。なぜスケートボードの環境づくりに取り組んでいるのか、それぞれ理由が語られました。JR小松駅高架下でスケートパークを運営している吉田さんは、昔に比べてまちにスケートボードの禁止看板が増え、滑りにくい現状があると説明。実際に子どもや親から「どこで滑っていいかわからない」という声を耳にしていると言い、自身もスケートボードをする立場から「(スケートボードができる)環境づくりに取り組むのは自然だった」と話しました。

 富山駅北側に「NiX Urban Skate Park」を建設したNiX JAPANの市森さんは、「富山にスポーツエンタメが少ないなかで、富山駅北側はスポーツの一大拠点。まちなかのスポーツを盛り上げたいと思ってつくった」と、スポーツを核としたまちづくりへの思いを語りました。また、建設の背景には、富山市出身で東京オリンピックの銅メダリスト・中山楓奈さんの声もあったといい、市民とスケートボーダーが近い存在になることも目指していると紹介しました。

 モデレーターの藤さんは、道路活用の社会実験の一環として三重県四日市市にスケートボードパークを整備。「平日休日、昼夜問わず多くの人がスケートボードパークに訪れ、人がいない時間帯はほとんどなかった。これほど多世代の交流を生み、さまざまなカルチャーや人を呼び込めるものはほかにない」とスケートボードが生み出す多様性や求心力を語り、とくに地方においてはまちを変える可能性になり得ると強調しました。

スケートボードとまちが共生するためのヒント

 「うるさい」「危険」といったイメージを持たれることも多いスケートボード。「NiX Urban Skate Park」も市民の安全性を考え、塀で囲まれた閉鎖空間になっていると市森さん。しかし「スケートボードは本来まちに溶け込んでいるべきもの。ファッション、アート、音楽と同じように、エンタメとして受け入れる社会を目指さなければいけない」と訴えました。

 続けて吉田さんも、「現状はスケートボードに関係する人でないとフェンスの中に入ってこれない。これを続けていてはいつまでも良さが伝わらず、まちに溶け込んでいかない」と、スケートパークを運営するなかで感じている危機感を話しました。

 では、スケートボードがまちと共生するにはどうしたらいいのか。藤さんは、都市計画の視点で戦略的に取り組んでいるボルドーの事例を写真とともに解説。「暗くて危険だった場所にベンチを設置し、夜間もスケーターが集まる場所に変えたことで安全になった」「時間制限を設けて滑走を許容した」「スケートボード禁止のピクトサインを工夫して印象を変えた」など、日本のスケートボードを取り巻く環境を変えるヒントになりそうな取り組みが多数共有されました。

クリエイティブなまちづくりにも活用できる

 セッションの後半、市森さんが「スケートボードの創造性についてどう考えるか」と吉田さんに質問。吉田さんは「どこでどう滑るかという自由がある中で、それを自分でチョイスするという意味で、スケートボードでまちを滑ること自体がクリエイティブだと思う。さらに写真、映像、音楽、アート、ファッションなど、派生していろんなものづくりに広がっていく」と、スケートボードからさまざまなカルチャーへの広がりを説明しました。

 これを受けて、スケートボーダーが多いまちは創造力にあふれているのではないかと市森さん。参加者として聞いていたニューピース代表の高木さんは、「富山県の成長戦略では起業家やクリエイティブ人材を増やそうとしているが、そのためには、まずはその前の段階の『何かやっていい』というクリエイティブな空気感が必要。スケートボードは、その空気感を生み出している」と発言。富山でもスケートボードがまちのクリエイティビティを高め、起業家やクリエイティブ人材を増やすことにつながるのではと話しました。

 最後に市森さんが、スケートボードを活用した富山のまちづくりへの意気込みを語りました。

 「まちづくりにおいて、主要駅の周辺がしっかりしていなければならないというロジックがある。どうやって富山のまちなかをしっかりさせていくかというなかで、我々はスケートボードに着目した。理由として、富山にはスケートボードの素地がある。コンパクトなまちづくりを推進していて、駅の真ん前にスケートパークを作る用地があった。なおかつ、中山楓奈というキラーコンテンツがあり、ある程度スケートボードに関するいろんな報道がされている。既にインフラは整っていたので、これらを何とかまちづくりにつなげていきたい」(市森さん)

 多様なカルチャーや人を呼び込む、クリエイティビティを生み出すなど、スケートボードの印象をも変える熱い議論が交わされました。また、富山では「NiX Urban Skate Park」を中心に変化が起きるような予感を感じさせるセッションとなりました。