しあわせる。ニュースレター Vol.02

「感じた気持ちを言葉にして伝える」

近藤麻理恵 片づけコンサルタント

ときめきポイントをアピールすれば もっと富山がハッピーになる

 片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんは、昨年10月の「しあわせる。富山」に、夫でプロデューサーの川原卓巳さんと基調セッションに登壇した。「しあわせる。富山」の会場となったのは立山町芦峅寺の「KOTELO」。閉校になった旧立山町芦峅小学校をリノベーションした「山のオフィス」だ。近藤さんは、施設の空間や雰囲気、豊かな山々に囲まれた美しい環境がとても印象的と話す。「地域の資源を活かして、心がときめく場所に生まれ変わらせたのが素晴らしい」と絶賛。おいしい空気の中で、幸せな気分に浸ったという。セッションの冒頭で、新田八朗知事がウェルビーイングの推進をプレゼンする姿にも驚いた。「テレビや新聞ではなく、目の前で知事が想いや政策について語る姿を聞くことができ、地域の人たちと一体感を生んでいると感じました」と振り返る。

 近藤さんは、自身が大切にする価値やときめきを、「分かりやすい言葉」で「伝える」ことを大切にしている。世界中で大ベストセラーとなった「人生がときめく片づけの魔法」は、「こんまりメソッド」という言葉のほか、「片づけ」を「ときめき」に置き換えて表現したことが重要なポイントになった。さまざまな表現や似たような言葉があふれる中で、的確に心に刺さり、残る言葉、際立つ言葉の存在を大切にする。仕事だけでなく、普段の暮らしにおいても、言葉にするとを大切にしており「感じていること、素敵だと想う気持ちを相手に伝えるだけで、自然と縁が生まれ、後々の自分を助けてくれます」。近藤さんは、川原さんの明るくて、誰とでも気軽に優しく言葉を交わす、オープンな性格に影響を受けた部分もあると教えてくれた。

「しあわせる。富山」での来県中に、スペシャルな出会いに恵まれた。偶然、散歩で通りかかった花水木通り(富山市)の文具店で見つけたポストカード。描かれたイラストにときめき、魅了された。その縁で、今年1月に発売された「こんまり流 今よりもっと人生がときめく77のヒント」(匠書房)の表紙イラストが誕生する。近藤さんが、立ち寄ったの店は文房具店「綴(つづ)ル」。ポストカードのイラストは、富山市在住のイラストレーター古屋知世さんが描いたもので、すぐに新刊の装丁に載せるイラストを依頼した。「私から店主に声を掛けたのですが、居合わせたお客さんとの会話にも広がりました。お店の中にコミュニティができているのが、とても印象的でした」と近藤さん。想いを共有しながら会話できる人が雑貨店に集まり「富山の人たちは、自然体のままチームづくりができているんだと感じました」と話す。古屋さんのイラストを採用したことで、近藤さんは文章量を約2倍に書き足すなど構想が膨らんだ。「この本は、富山の空気から生まれました」。本には、夫である川原さんとのパートナーシップや暮らし方、仕事についてなど、これまでの本には書かれていなかった内容がまとめられている。

 近藤さんには、大事にしているチームがある。片づけのワークショップやコーチングをする「こんまり流片づけコンサルタント」だ。「私もお客さんの家に行って片づけをしていた経験があります。一人でも多くの方の片づけを終わらせて、ときめく人生を送ってもらいたいというビジョンを持ち続け、大切にしています」。各地域のコンサルタントたちは、自主的に情報交換の集まりを催したり、切磋琢磨しあう関係だ。富山県内でも認定コンサルタントが活躍中だ。「本音で話せる人の存在や自分がいいと感じているものに共感してくれる人がいることは、チームづくりにおいて大切な価値」と話す。

 近藤さんは、富山県を訪れたことで素敵な場所があることを知り、その土地の人に声を掛けて触れ合うことで、富山の素敵な人たちの存在に気づいた。「自分のいる場所、自分が伝えたいことの魅力を誇りに、ぜひ堂々としていてください。富山の人がイキイキと暮らし、働いているエネルギーが、地域を元気にしていると思います」。富山県民には、自分たちの地域の魅力や素晴らしさを伝えることに、ためらい、遠慮がちになる県民性が少しあるのかもしれない。「自分の町、自分のときめきポイントを明確にして自信満々にアピールすれば、みんなが、そして富山がもっとハッピーになれますよ」とエールを送ってくれた。

近藤 麻理恵 氏

片づけコンサルタント

幼少期より片づけに興味を持ち、大学在学中に片づけコンサルティング業務をスタート。2010年に出版した『人生がときめく片づけの魔法』は世界40カ国以上で翻訳され、1,400万部突破のベストセラーに。2015年に米『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出。Netflixに冠番組を持ち、2019年にエミー賞2部門にノミネート、2022年にはデイタイムエミー賞を受賞するなど、世界規模での片づけブームを巻き起こしている。